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雪原に浮かび上がるクレーター
先日、エゾシカの調査のため、知床岬上空をヘリコプターで飛びました。上空から眼下に見えるシカの数を数えて生息数を推定する環境省の調査です。
ヘリコプターの窓に額をくっつけて、瞬きもしないで必死にシカを数えていると、雪原にくっきりと浮かび上がった円形の模様が目に入りました。まるで隕石が落ちたクレーターか、ナスカの地上絵のようですが、これは竪穴住居の跡です。
知床岬は今、夏場漁業番屋に漁業者が一時的に滞在する程度で、常時住んでいる人はいません。しかし、歴史的にはつい最近?まで人が暮らしていた場所と言ったほうがよいかもしれません。北海道の名づけ親でもある江戸時代の探検家、松浦武四郎は、知床日誌の中で知床岬を訪れた際の事も書き残しています。当時2軒の民家があり、一晩泊めてもらったと書いています。
竪穴以外にも、人の暮らしがあった痕跡が今も残っています。まさにシレトク、大地の果てるところですが、豊かな海の恵み、陸の恵みに支えられた人々の暮らしが脈々と続いていました。
かつての人の営みの痕跡が上空からもはっきり見える形で残っていることに、ちょっと感動してしまいました(担当:増田)。