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放心しても現実は変わらない
知床は、高密度にヒグマが生息する場所であり、人が生活を営む場所でもあります。
斜里町ウトロ市街地は、ヒグマの侵入を防ぐために町全体を囲む形で電気柵が設置されています。
電気柵は一度設置すれば終わりではなく、定期的なメンテナンス作業が必要です。
例えば、漏電の原因にもなる雑草の草刈り等。
この夏も、ぐんぐん伸びる雑草の草刈り作業を定期的に行っています。
夏の時期の草刈りは大変な重労働ですが、これも人とヒグマの軋轢を減らし、共存していくために必要なことです。
その日はとても気温が高く、蒸し暑い一日でした。
定期的な草刈りを行い、有効電圧が維持されていることを確認し、一日を終えました。
汗だくになっていたため、帰宅してすぐに洗濯機に衣類を放り込み、お風呂場へ直行。
体中の隅から隅まで入念に「あれ」がついていないか、チェックしながら汗を洗い流していました。
すると、臀部に見慣れないホクロのような黒いモノがついていました。
毛糸のようなものがついていたので、ホコリかな?と思い、こすりましたが、取れません。
不思議に思い、よくよく見てみると、毛糸のようなものは・・・脚でした。
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛
その脚はわらわらと動いており、頭部が私の体内に入り込んでいました。
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛
こういったときは冷静に対処することが必要です。
狂った気を必死に戻して、他の場所にもついていないか確認します。
どうやらその1匹だけのようでした。
一度風呂場から出て、タオルで臀部をふきます。
やっぱり気のせいではありませんでした。
やっぱりいました。
現実はなんて残酷なんでしょう。
体に虫(マダニ)が食い込んでいる現実をどう受け止めればいいのでしょうか。
取り除かなければいけない事は分かっているのですが、なんせもう20時を過ぎており、診療所は閉まっています。
ですが、このままでは寝られません。
寝ると、臀部のマダニをつぶす形になってしまい、もっと食い込むのではないかという恐怖が私を襲います。
自分でピンセットを持ち、取り除こうと試みますが、いかんせん場所が悪いです。
臀部についたダニを取るには、体をツイストしないといけないのですが、そうすると頭部をちぎらずに引っ張り出す繊細な力加減ができません。
下着をはくこともできず、しばらく半臀部状態で放心していました。
もう人にとってもらうしかないと決心しました。
ありのままの半臀部な私を見られても問題のない同性の同僚に電話をかけてお願いすると、すぐ行くと快く引き受けてくれました。
感謝でした。
チャイムが鳴り、ドアを開けると、ピンセットを手に持った彼がいました。
私には彼が天使に見えました。
作業自体は1分もかからずに終わり、無事に頭部をちぎらずに取り出すことができました。
幸いにも、噛まれてからそんなに時間が経過していなかったので、簡単に取り出すことができましたが、気付くのが遅ければ難しかったでしょう。
皆さんも野外で活動する場合は、充分に注意を払い、帰宅後すぐにお風呂に入ることをお勧めします。
今回マダニの話題なのにマダニの写真はありません。
なぜなら撮影する余裕が私の心になかったからです。
※マダニに刺された場合は病院に行くことをお勧めします。自分で対処する場合は、感染症などのリスクがありますので、自己責任でお願いします。
(村上)