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森づくりの道 シカ柵コース
知床自然センターにはよく利用者の方から
「この辺で観光できるところはありますか?」「知床五湖や知床峠へ行きたいのですが・・」と、お問い合わせをいただきます。
しかし現在、知床五湖は冬期閉園、知床峠や羅臼へ続く知床横断道路も冬季通行止めとなっており、ご利用いただけません。せっかく道東の地の果て、知床までお越しいただいたのに肩を落としてしまわれては、こちらとしても胸が痛くなります。
そんな時、我々がご提案するのは知床自然センター周辺にある魅力的な散策路です。
知床八景の一つ”フレぺの滝″を望むことができる「フレぺの滝遊歩道」や
”森づくりの道″という、知床で行われている森づくりを直接見ることができる、
「シカ柵コース」・「開拓小屋コース」があり、それぞれコースの所要時間や望める景観が異なりますので、どの散策路も全~部オススメ!!
ぜひ皆様に歩いていただきたいので全てのコースのご紹介をしたいところ・・ですが・・
今回は、
シカ柵コースについてのご紹介とこの時期だからこその楽しみ方をちょっぴり教えちゃいます。
実は、このシカ柵コースは雪が積もる頃になると閉鎖となり利用ができなくなります。
ここ最近は雪がぱらつく日も増え、いつ雪が積もり始めてもおかしくない時期になってきました。
そう・・ここを散策できるのはあと少しなんです。
そもそもシカ柵(防鹿柵)とは何でしょうか。
高さ2.5m~3m(雪が積もっても超えられない高さ)の柵のことで、森づくりにおいて苗木や樹皮を食べてしまうシカの侵入を防ぐことが大事であり、その有効な手段として、守りたい場所を柵で囲うことが必要なのです。
シカ柵コースは、同じコース内でも場所によって道なりや景観が異なっていて飽きずに楽しむことができます。それでは、コースの一部を一緒に覗いてみましょう。
シカ柵コースまではアカエゾマツの間伐材から 作られたウッドチップが敷き詰められていて歩きやすい道のりになっています。
要所要所に解説案内板が設置されているので、 森づくりや開拓の歴史を理解しながら進むことができる面白いコースです。こちらはシカの食害から樹皮を守るためのネット。それぞれ工夫がされていて素材も用途によって異なります。
さぁ、シカ柵コースの入口に着きました。 人間だけが入れる特製のゲート(扉)から中へと入っていきましょう。
中に入ると、
見通しの良い開けた空間が広がります。
夏場はシカ柵内には、たくさんの種類の草花が生えていました。今はシーズンを終え、また来年の芽吹きに向け息を潜めている頃でしょう。
コース内には、知床の森で採った種や幼樹を育てている苗畑があります。
大きくなった苗木は周辺の運動地へ植えられます。
まだまだ小さい苗木。
寒い冬を乗り越えてゆっくりと大きくなってね。
この時期はもう木々が葉を落とし、森の中も空も見通しが良くなります。
私の楽しみの一つに、枝先の冬芽や樹皮を観察することや野鳥探しがあります。
木の実や面白い形の自然物を発見できると
なんだか嬉しい気持ちになるんですよね。
奥へと進んで行くと、だんだんと広葉樹や針葉樹の森の中へと変化してきました。落ち葉が地面で絨毯となり、ふかふかとした歩き心地。乾燥している日には、カサッカサッと踏みしめる音も心地よいです。
冬でも葉を落とさない針葉樹の森の中は、少し薄暗く雰囲気がまた違っています。辺りを見渡すと背の低いまだ幼い木々たちの姿を見ることができますよ。
シカ柵コース内には知床連山をバッチリと望めるスポットがあります。
午前中ご散策された利用者のご夫婦が大変満足された様子で、雲一つない美しい連山のお写真を見せて下さりました。
私もその後に巡視に行きましたが、既に雲が連山を隠していて全貌を望むことはできませんでした。しかし、利用者の皆様から「楽しかったよ。良かったよ。」とお声がけいただけるのは嬉しいものです。あのご夫婦の笑顔が、この日の仕事の励みになりました。
ぜひ知床自然センターに訪れた際は、些細な疑問でも知床での思い出でも、 な~んでもお気軽にスタッフにお声がけ下さいね。
雪が積もる頃には閉鎖となる「シカ柵コース」。
このコースが歩けるのもあと少しです。
防寒対策を怠らず暖かい服装をなさってご散策をお楽しみくださいね!
(そのだ)