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流氷と知床

季節イベント 風景

アムール川の豊富な栄養を含んだ海氷は、
遠く離れたサハリンから風に乗ってやってくる。

プユニ岬

プユニ岬

ここは知床。
流氷が行きつく最南端。
突き出た半島の地形は、
北西の風に押されてやってきた流氷を受け止め、氷のたまり場となる。

海上を流れ漂う氷

雪と氷と海と空。白と青だけの世界。
流氷の下でも上でもたくさんの生物たちが命を繋いでいる。
厳冬が去り暖かな光が差す春になると、氷の間にできたアイスアルジー(藻類)と栄養分が溶けだし植物性のプランクトンが海中で大繁殖する。
食物連鎖の始まり、命の循環の始まりだ。

流氷がもたらす知床の豊かな生態系は、
世界自然遺産に登録された要因のひとつである。

知床自然センターからの連山

海と川と陸と山。自然の恩恵が繋がり続いてゆく。
人間もその恩恵を直接的・間接的に享受し利用している。
ここに住む野生動物たちの存在を感じながらの散策。
林内を歩いていると息を吐く音すら吸収されてしまいそうな程静かな空間。
真っ白い雄大な知床連山の姿。
海は流氷で閉ざされ、白い大地が永遠と続いているよう。
流氷同士がこすれ合う音、海ワシたちの鳴き声。

同じ景色は二度と見られない

ここにしかない知床独自の自然環境は、どこを切り取っても壮観で繊細。
絶妙な生態系バランスを保っている。
そんな流氷もいつまでいるか分からない。
未来の知床でも流氷を見ることはできるのだろうか。
流氷が来なくなってしまったら知床の環境はどう変わってしまうのだろう。

沈む太陽と氷の海原

この豊かな自然をいつまでも残してゆくために、

私たちにできることをしていこう。
正しい情報や現状を知ってみること。
学んだこと・あなたが感じたことを誰かに伝えていくのも、とっても大切なこと。
実際に保全活動などに参加してみることはご自身の貴重な経験にもなるでしょう。
身近なことから少しづつ意識し、行動してみることはとても大きな力となります。

スノーシューを履いてあの丘へ

さぁ、厳冬の知床はそろそろ終盤。
今しか見ることのできない絶景を体感しに行こう。


(そのだ)


我々、公益財団法人知床財団も「知り」「守り」「伝える」活動を行っています。https://www.shiretoko.or.jp/activity/

Writer

園田 佳菜子

Kanako Sonoda

埼玉県出身。東京環境工科専門学校卒。齧歯類がたまらなく好き。子どもたちからはチロルと呼ばれている。