STAFF BLOG

旅の途中

動物

12月上旬、雪降る寒い日に町民の方からカラスに いじめられている海鳥を保護したとの連絡が入りました。 夕方お宅に伺いひとまず家に持ち帰って保温、買ってきた小魚をさばき細かくして与えてみると、すぐ興味を示し食べてくれました。 もっともっと!と言わんばかりに箱の隅をつついてはエサをねだります。警戒心が薄いのか、かなり親和的な態度にびっくりしました。

調べてみると、ハシボソミズナギドリという海鳥でした。1211hashibosomizunagidori.JPG

この鳥は、最も長距離の渡りをする鳥の一つとして知られ、エサである魚やイカ、オキアミを追って北半球と南半球を大移動します。一年のうちに累計にして約32,000kmを移動するとも言われ、その壮大な渡りのスケールに圧倒されます。 日本近海には、5~6月ごろ渡ってくるようです。

繁殖しない若鳥は通年日本近海で見られることもあるそうですが、多くは今の時期、オーストラリアやタスマニアに渡っているはずなのにどうしたのでしょう?

食欲が旺盛なこと、水かきに負担をかけさせないために、翌日、近くの海に放鳥しました。 雪降る中、無事に生きていけるだろうか・・・心配は心に収めて、そっと海辺の斜路に置くと、ヨタヨタ海の方へ・・・ 波が押し寄せ、海鳥はまさに海の鳥に戻りました。 その直後、海面をトトトッと蹴り空高くに飛び立ちました。長く広げた翼で軽やかに風を切る姿は、ヨタヨタ移動していた陸上の時の面影はなく、心強いものでした。 長い旅の途中、無事にこのあと南半球へ渡り、また来年の春戻ってきてくれることを願いつつ・・・。 (担当:喜内)