STAFF BLOG
空へ
彼らは長い間、暗い土の中にいた。
来る日も来る日も光を見ることなく、木の根ばかりを吸って生きてきた。
土の中は変化がなかったが、ときどき動物たちが土を掘って、仲間が食われた。
ひたすら暗闇で耐え忍ぶ日々。
だが、いつか地表に出て空を飛ぶことを、その体は知っていた。
見たこともない世界で、自分が何をするべきなのか理解していた。
・・・
知床ではエゾハルゼミが鳴きやむ頃、次のセミたちが地上に現れるようになります。
コエゾゼミといって、エゾハルゼミよりやや大型のセミです。
鳴き声は「ジーーーーー」と単調です。
ちょうど今時期、コエゾゼミの脱皮(羽化)を見ることができます。
脱皮したてのセミの体は緑がかっていて、羽は精巧なガラス細工のように綺麗ですね。
ある個体を観察してましたが、脱皮には2時間程かかり、さらに体を乾かすのに一晩かかったようです。
羽化は昆虫にとって、大人になるための非常に重要なイベントです。もし羽化に失敗して羽がうまく開かないと、まともに飛ぶことができなくなり、繁殖もできずただ死を待つだけとなるでしょう。
羽化しているセミがいたらそっと見守ってあげてください。
(担当:ノセ)