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採餌(さいじ)と反芻(はんすう)
雲一つないてお天気に恵まれた日曜日、フレペの滝遊歩道沿いでの光景です。
遊歩道を散策する人を気にするわけでもなく、のんびりと枯草を食べたり、半分居眠りしながらもぐもぐ反芻(はんすう)したり…。リラックスタイムのエゾシカたちです。
海沿いの崖上は、海から吹き付ける強風によって雪が吹き飛ばされ溜まらないため、エゾシカたちの餌場になっています。シカはウシなどと同じ反芻動物、一度胃に入れた食物を口中に戻し咀嚼し直します。これを反芻と言い、彼らは「食べる」と「反芻」を交互に繰り返しながら胃の中の微生物の力を借りて消化しづらい植物から栄養を得ています。
強風の時などは風の当たらない木陰で反芻しますが、無風快晴のお天気だったので、食べたその場でのんびり反芻していたのでしょう。「餌場」と嵐をやり過ごす「木陰」、そして「飲み水」、この3つが揃う場所がエゾシカの越冬場所としての条件になります。
シカによる植生への影響が深刻化した知床では、国立公園内でも捕獲が行われています。フレペの滝遊歩道のある幌別岩尾別地区でも5年前から行われていますが、遊歩道周辺では行われていません。ここを安全と分かっているのか、それとも危ない目に遭った経験がないからなのか、彼らの黒い瞳を覗き込んでも、その答えはわかりませんでした(担当:増田)。