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エゾスカシユリの咲く頃
知床自然センターや知床五湖へ向かう途中、道路脇でオレンジ色の鮮やかな大輪の花が見られるようになりました。エゾスカシユリの花です。
エゾスカシユリはユリ科の多年草で、北海道では草原や道路脇などでよく見られ、特に珍しい花ではありません。
ただ数年前まではこの辺りでは珍しい花でした。
知床では増えすぎたシカが植生を荒らしてしまい、生態系に負の影響を与えていることが問題となっていました。
エゾスカシユリもわりとシカが好む植物であったため、シカが多い頃はほとんどその花を見ることはありませんでした。
知床自然センター周辺では、2011年度からシカを適正な数まで少なくする管理捕獲がスタートし、現在はシカの数が大幅に減少しています。
シカが減った影響なのか、今では道路沿いでエゾスカシユリの花が普通に見られるようになりました。
昨年から私達は特定のエリアで、エゾスカシユリのカウント調査を始めました。花を咲かせている株数がどれくらいあるかを目視で数えるだけのシンプルな調査です。
見晴橋という場所の道路法面では昨年69株だったのが、今年は218株になりました。約3倍に増えてますが、これがシカの減少によるものなのか、気象によるものなのか、今のところ分かりません。継続して調査すれば因果関係が明らかとなるでしょう。
私達は多くのシカの死を見てきました。増えすぎていたとはいえ、シカも生き物であることに変わりはありませんでした。
シカの命と引き換えに、私達はエゾスカシユリの花を見ているのかもしれません。
(担当:ノセ)