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ギンザンマシコとの出会い
休日に羅臼湖へ行ってきました。
今の時期はバスが運行していないので、知床峠に車を停めて40分ほど歩きます。
心地よい秋の日差しの中を、鳥のさえずりに耳をすませながら歩きます。車どおりは少なく、たまに落ちているごみを拾ったりしながらのんびり歩くうちに羅臼湖へ到着です。
羅臼湖へトレッキングシューズで行った私は入口でもはや後悔しました。
湖へ続く道はほぼ沼と化しており、足を入れると呑み込まれます。
羅臼湖へは、長靴が必須・・・それをすっかり忘れていたのです。足首程までしかない私の靴はズブズブに沈んでしまい、恐ろしいほどゆっくりとしか歩けません。
諦めて、一番手前の目梨展望台まで行くことにしました。
あたりには鳥があふれ、また信じられない距離まで近づいてきます。
ハシブトガラやヒガラ、シジュウカラやシマエナガたちが行き交います。「ここはカラ類の天国だ」と思いました。
すぐ、手を伸ばせばフワフワのからだに触れるほどの近さです。山で生活している彼らは、あまり人に対しての警戒心がないのでしょうか?
それにしても近い。近くの澄んだ水たまりでハシブトガラが水浴びを始めます。自分がネコやキツネだったら間違いなく仕留められる・・・そんな無防備さに思えます。
しかし、彼らはきっとわかっているはずです。安全な距離を保ちながら人間たちを観察し、いざというときには逃げられるよう構えているのです。
そんな野生で生きる彼らのしたたかさが魅力なのです。
歩いている途中、美しい鳴き声が聞こえてきました。
チュルリッ、ピキュルル、聞いたことのない鳴き声です。
頭上を見上げると、アオジより少し大きいくらいの鳥が飛んでいます。
その距離もまた近い。肉眼でも模様が分かるくらいの近さ。
ギンザンマシコです。
今回出会ったのはメスの個体と思われます。オスはもっと鮮やかな紅色になります。
しかし調べたところ、若いオスの個体も同じような色になるみたいです。どっちだったのか私にはわかりかねます。
よく見ると口周りが汚れており、何か食事中だったのかもしれません。
ギンザンマシコは「アトリ科」という鳥の仲間に分類されます。
(いつも思うのですが、アトリ科の鳥たちは文鳥に似ていますね。ウソという鳥は鮮やかな文鳥に思えて仕方ないです。)
よく似ている鳥で、イスカという鳥がいるのですが、イスカはクチバシが食い違っているのが特徴です。イスカのオスも身体が紅色になります。
しばらく数羽のギンザンマシコたちに囲まれ、幸せな時間を過ごしました。
彼らもあまり人間を恐れないらしく、こちらをじっと観察していました。
双眼鏡越しに見る、その目の美しいことといったら!
純粋で、好奇心にあふれ、まっすぐにこちらを見つめるギンザンマシコを見ていると
この姿をずっと見ていたい、目を離したくない・・・と思ってしまうのでした。
また次に羅臼湖を訪れる時は、必ず長靴を履いて、全部の湖を回ろう。そう強く思いながら帰路につき、余韻に浸っていた秋の日でした。
(担当:つくし)