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フレペの花の興亡

植物

季節が進むたびに、とある花が咲き、散り、種をつけ、そして別の花が咲いていきます。

季節は止まってくれず、目を離している隙に世界は素晴らしい表情を見せているかもしれません。『男子、三日会わざれば刮目して見よ』という言葉がありますが、自然もまた三日も経たずに変わってしまうこともあります。見逃したくないものです。

フレペの滝遊歩道では最近、クルマユリの花が見られるようになりました。

といってもまだ3株ほどでした。

クルマユリはユリ科の多年草で、葉が輪生する様子を車輪に例え、車という名前がついています。花は鮮やかなオレンジ色で花弁が上まで反り返るのが特徴です。

この花、エゾシカの採食圧に弱いと見られ、これまでフレペの滝ではほとんど観察例がありませんでした。知床では近年、増えすぎたエゾシカの密度調整が行われており、このエリアでもエゾシカの減少が植生に反映され始めたのかもしれません。

消えたと思っていた植物が実は生きていて、再び見られるようになるのは非常に嬉しいことです。

一方で、無くそうと思っているのに無くならない植物もあります。

こちらは外来植物であるアメリカオニアザミ。

何年も何年も除去作業を行っているにも関わらず生存し続けています。

彼らの種子は広範囲にばらかまかれ、至るところで発芽の機会を待っています。

アメリカオニアザミのような外来種は人間の活動と共に移入してきます。植物の種子は土壌の運搬の際や、人の衣服や靴、車のタイヤなどに付着して移動してきます。今、警戒しているのはオオハンゴンソウで、すでにウトロ地区で生育が確認されています。

環境の改善によって消えた植物が復活するのは望ましいことですが、新たな外来種の移入はあってほしくない事です。

(担当:ノセ)