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遠音別川のサケと地層

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斜里からウトロに向かう途中、遠音別川という河川があり、そこではいまサケの遡上を観察することができます。

遠音別川河口の釣り人

最近は河口に釣り人が非常に多いので、すぐに場所がわかると思います。

遠音別川の上流にはすぐサケマス孵化場があり、サケはそこで採捕されるのですが、ウライ(サケマス採捕用の堰)の下のたまりにたくさんのサケが集まっているのが見えました。

中にはウライの段差を飛び越えて上流に行くサケも見られ、産卵するために上流を目指したいという懸命さが感じられます。

遠音別川の見どころはサケの遡上だけでなく、崖の地層にもあります。対岸に見える地層は斜めになっていますが、これは地殻変動により海底が隆起したためと考えられています。

(何年か前にブラ〇モリで紹介されてましたね)

しれとこライブラリー⑧『知床の地質』によれば、知床半島や国後島、択捉島は100万年程昔に太平洋プレートと北米プレートがせめぎ合うことにより、海底が盛り上がって陸になったと考えられているそうです。盛り上がった大地の裂け目からマグマが噴出し羅臼岳のような火山が形成されたと考えられています。

(ざっくりすぎる説明で分かりづらいと思いますので、詳しくは『知床の地質』をぜひお読みください)

知床半島が形成された当時がどのような環境だったのか想像もできませんが、不毛な荒野だったに違いありません。悠久の時を経て緑が大地を覆い、川は魚が住めるほど清らかな流れへ生まれ変わりました。今の命あふれる知床半島の姿からは想像もつきませんが、無数の動植物や菌類の働きがあったからこそ、今日の姿があることは間違いないでしょう。

自然は変わらないものと思われがちですが、常に変化を続けています。人間の感覚では気づきませんが、プレートテクトニクス理論によれば地殻は年に数センチ程度動いているそうです。

100万年後の遠い未来など考えても仕方ないのかもしれませんが、地層を見ているとこの世界の行く末を想像したくなってきます。

(担当:ノセ)