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てんてん模様の多様な世界

その他 動物

知床自然センター内の壁に、埃をかぶったままじっと身を潜めているテントウムシを発見しました。どうやら、温かい館内で越冬していたようです。この時期にテントウムシに会えるなんてなんだか嬉しく、そばにいたスタッフにもついつい報告。

図鑑を本棚から引っ張り出し、さてさて…と。
しかしテントウムシの模様は変異個体もあり図鑑を見て同定してみるも難しく不確かだったので、生き物博士のスタッフにも確認したところ、カメノコテントウであることが分かりました!

そうそう、
テントウムシといえば、私事ですが図鑑に載っているテントウムシをコンプリートする為、野外へ探し回ったり、標本作りに明け暮れていた時期がありました。
全種に巡り合うことはそう簡単ではなく、現在でもテントウムシがいれば記録を取って情報を収集しています。

せっかくなので私がこれまでに出会って来た個性的なテントウムシたちの一部を

ご紹介します!皆さんをぜひともテントウムシファンに…!


まずは、先ほども話題に出てきたカメノコテントウ。

亀の甲状の模様が特徴的ですねぇ。オニグルミの木につく、クルミハムシの幼虫を食べます。大型のテントウムシで、この種を見つけられると個人的にとってもうれしい…。

こちらは昨年、知床五湖の巡視中に顔に飛んできたウンモウテントウ。


この時は何が飛んできたのかわからず、

一人で慌てふためいた記憶があります(笑)

白と黒のてんが重なり、まるで雲のような模様をしています。
山地にいることが多いですが、個体数は少ないようです。ちょっとレア★?

 

同じく昨年、羅臼岳山頂でシロホシテントウを発見しました。

12個の白いてんてんがキュートなテントウムシ。
小型で植物の葉などにつくウドンコ病菌を食べているそう。
私のお気に入りのテントウムシです。しかし…撮ったはずのシロホシテントウの写真のデータを紛失しました。

(無念…)ここではお見せすることが出来ないので、気になる方はぜひ図鑑を開いてみてくださいね。



続いて、自宅の玄関先にいたナナホシテントウ。

 

街中でもよく見かける種類です。

7個のてんてんがあり

四葉のクローバーとともに描かれていることがあります。

この時はタンポポと一緒。

なんだかラッキーな気分!

 



続いて知床ではありませんが、
去年6月の雄阿寒岳頂上付近では、アカホシテントウに。
つややかな色の赤いてんが2つ。

山登りをしていると頂上付近でテントウムシたちに出会うことが多いです。
鳥たちもビュンビュン飛び回ってこれらの虫を食べているようでした。

 


さらに私がまだ本州にいたころに出会ったテントウムシたちをご紹介します。

まずはてんてんがないタイプのナミテントウ。

 

ナナホシテントウと並び、身近にいる種です。

ナミテントウは個体によって模様がさまざまで、黒地に赤い点が2つあるものや無数にあるもの、赤い地に黒の点が無数にあるものもいます。斑が無いタイプは珍しいみたいですよ。

 

 

 

 

 

  続いてこれはキイロテントウ。


てんてんは無いですが、鮮やかな黄色が美しい種です。

テントウムシは幼虫から蛹になり、蛹から成虫に羽化します。

羽化した直後は、模様はまだついていませんので、はじめてキイロテントウを見た時は、羽化したてのテントウムシだ!!と勘違いしていました。

 

最後は
お花屋さんの植木鉢の下にいたテントウムシ。
発見したときはテントウムシだとは分からず、なんてオシャレな模様でイケてる虫さんなの!と感激していました。

自宅に帰って図鑑で調べてみると、なんと外来種のミスジキイロテントウ。関東での目撃情報が非常に少なかったため標本にして残したいと思い、後日何度か同じ場所へ探しに行きましたがもうその姿をみることはできませんでした。

 

複雑な気持ちになりながらも貴重な出会いとなり、よいデータが得られました。

 

日本には約180種ほどのテントウムシがいるそうで、
バリエーション豊富な色や模様、生活史も含めてとっても面白い昆虫です。
テントウムシって愛嬌があっていいですよね。虫が苦手な人でもテントウムシは触ったことがあるのではないでしょうか。噛みつくわけでも、触っていて痛いものでもないですし、強いて言うなら、防御の為に脚の付け根から出すあの黄色い汁が臭くて汚れるという点で嫌な気持ちになる程度でしょうか。

時に、人間にとって利害関係のはっきりしているものを害虫、益虫と呼びます。
テントウムシの多くは、植物に影響を与えるアブラムシやハムシの幼虫を食べてくれますので、益虫と呼ばれることがあります。
ただ、ジャガイモやナスなどの作物の葉を食べるもの(ニジュウヤホシテントウなど)もいて種類によっては害虫として扱われることがあります。
しかし、あくまでも人間から見た区別であって自然界にそのような区別はなく、どんな生き物も大切な存在であることを忘れてはなりません。

知床の厳しい冬を乗り切っている生き物達の凄さには、いつも感心します。

センター内で越冬していたあのテントウムシにとっては、ここはぽかぽかの楽園だった事でしょう。皆さんも散策の前後には、このぽかぽかな楽園でごゆっくりなさっていってくださいね。

(そのだ)

Writer

園田 佳菜子

Kanako Sonoda

埼玉県出身。東京環境工科専門学校卒。齧歯類がたまらなく好き。子どもたちからはチロルと呼ばれている。