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先日、フレペの滝遊歩道の巡視に行って来ました。
天気は雲り、気温はマイナス1度。風があり雪も少しだけちらついています。
最近の自然センター周辺はずっとこんなお天気で、青空は久しく見ていないような気がします。
しかし、こんな日に白い空と雪原に挟まれて息をひそめているような森の中を歩くのも、それはそれでまた良いものです。
センター周辺の散策路は雪が積もっているので、スノーシューを履いての散策をお勧めしています。
森の中は風も無く、雪が降る様子はまさに「しんしん」
トドマツの枝も重そうです。ザクザクという歩く音に混ざって小さな小鳥の声。こんなに寒いのに、ミズナラの木の枝先ではハシブトガラがせっせと動き回っていました。
冬は木の葉で遮られることが無いので、鳥の観察がとても楽しい時期でもあります。双眼鏡があるとさらに楽しめます。
軽快な鳥たちの声に癒されながら長い坂を下っていきます。結構斜度があるので、スノーシューでも滑りそうになります。気を付けて進みましょう。
森を抜け、草原に出ると一気に風が強くなりました。
寒々しい景色の中、目につくのが風に耐えるカシワの木々。新しい芽を守るために冬にも葉を落としません。枯茶色の葉が雪景色の中に映えとてもきれいでした。
フレペの草原は見通しが良く、気軽に生き物の観察ができる場所でもあります。しかし風が吹き抜けるため、雪が巻き上げられたり吹雪でホワイトアウトして視界が全くなくなってしまうこともあるので、そういった場合は無理して進まずに引き返しましょう。
草原の道もしっかり踏み固められているように見えますが、スノーシューごとズボ!と雪にはまることも。ご注意ください。
さて、冬の散策の楽しみは何と言ってもいきものの痕跡を見つけることです。さっそくキタキツネの足跡が縦横無尽につけられていました。
ふと前を見ると、私の前に歩いて行った人の足跡を横切る足跡が。
姿は見えなくても、実際にここを歩いていたんだなぁと思うと、なんだか嬉しくなります。
雪交じりの風に押されながらもなんとか目的地のフレぺの滝に到着。
見事な氷瀑が出来ていました。
夏場には見られない薄青い氷が幻想的ですね。滝は完全に流れが凍ることはないので氷瀑はどんどん成長します。
もうすぐこの滝の下に広がるオホーツク海に流氷がやってくるんだなぁ。そんなことを思いながら、波立つ濃紺の海を後に。
その向こうにはウトロ灯台のライトが応援するようにやさしく光っていました。
帰り道。気配を感じて振り向くと、林内には立派な角を持ったエゾシカがいました。
風をしのぎながら、こちらをじっと観察しています。
行きは滑りながら下った坂を、息を切らして上りきると、遊歩道も終盤です。往復に掛かった時間は1時間と少し。夏場は往復40分弱で散策できるフレペの滝遊歩道ですが、雪が積もると所要時間も変わってきます。時間に余裕をもって散策を楽しみましょう。
冬は生きものにとって厳しい季節ですが、雪や氷瀑などの冬ならではの風景だったり、生き物との出会いを楽しむことができるのが魅力でもあります。
知床の森は厳冬期に入りますます楽しくなっています。流氷もそろそろ顔を見せてくれるころではないでしょうか。
冬の厳しさをひしひしと感じるとともに、これからの季節がさらに楽しみになる巡視となりました。
来週29日には冬季限定の「冬の森コース」もオープン予定です。
こちらは森の中をスノーシューやスキーで歩くアップダウンのあるアクティブなコースです。
知床自然センターでは、スノーシューや長靴、ポールのレンタルもありますので、ぜひご利用くださいね。
(レンタルの詳細はコチラhttps://center.shiretoko.or.jp/rental/)
(mikotoda)
ちなみにエゾシカは3頭いましたよ