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知床半島の背骨へ

登山 植物

 

7月の上旬に1泊2日で知床連山の巡視に行ってきました。

羅臼岳、三ツ峰、サシルイ岳、オッカバケ岳・・・数々の山を越えてを登った先に見える縦走路の景色、ご紹介していきます。
今回は岩尾別側から登りました。

登山届を記入してから出発します。
大沢までは林道の中を歩きます。ここでの楽しみ方はお花探し。

今年は雪解けが早いようで、かわいらしいお花たちが顔を見せてくれました。

ゴゼンタチバナ

ハクサンチドリかな?




大沢上部からの写真。例年に比べて雪が少なく、もう夏道が出ています。登山道がわかりづらいためか間違った道を歩いていく登山者の方が多く感じられました。
遠くにうっすらと知床五湖が見えます。

エゾノツガザクラ

チングルマ



三峰の雪渓はまだまだありました。

風の影響でしょうか、なんだか幻想的ですね。



サシルイ岳の大雪渓(硫黄山側)もまだまだ残っています。ここを走って下るのが醍醐味です。


今回の宿泊場所は二ツ池。
まずはテントを設営します。この日は非常に風が強く、難航しましたが、なんとか完了。

さて、テント設営が終わったら楽しみにしていた、ご飯の時間です。今回のディナーはカレー。
山の上でのご飯は格段においしく感じますね。

 

夜は涼しかったため虫はいませんでしたが、朝起きたらものすごい量の蚊が。準備を整え、蚊とともに6時に出発します。

 

南岳に向かうため、濃いハイマツ帯を潜り抜けます。

イワヒゲ

 

雪渓からハイマツ帯を抜け、ガレ場やザレ場という足元が悪く変化の激しい登山道を歩いた先に待っていたのはシレトコスミレ。
高山の非常に限られた厳しい環境下にこんな可愛らしいお花が咲いているなんて、逞しい...胸が熱くなります。今年は雪解けと同じく少し早めかな?ほとんど終わりかけのようです。



知円別岳~こけし岩まで来ました。緑の中に映える白がとてもかっこよく、どこか別の星に来たように感じます。緊張感を感じつつ、急斜面のザレ場を横切り、白い火山灰の稜線を進みます。
個人的にとてもお気に入りの場所です。




こけし岩~硫黄山間の第2前衛峰の雪渓は融雪が進み、夏道が出ていました。夏道でも斜度が急なため、注意が必要です。


硫黄山山頂から。歩いてきた山々を眺め、振り返る時間。感慨深く、達成感を感じます。


 
硫黄沢を降りる頃には気温も上がり始め、直射日光の熱気を感じつつ進みます。硫黄沢の雪はもうほとんど終わりかけ。下流のほうで少し取水できました。

雪解け水ってなんでこんなにおいしいんでしょうか。水道水に戻れなくなってしまいそうです。
※7/17には融雪が進み、取水不可能になっていました。


硫黄沢を下り終わり、林内に入るともうほとんど下界に戻ってきたように感じます。非日常が終わってしまうのが寂しく、降りたくない気持ちと、疲労で早く降りたい気持ちで矛盾する重い足を持ち上げ下山しました。

 

【ヒグマ情報】
硫黄沢に古めのクマ糞

【水場状況】
弥三吉水:沢水・豊富・浄水器使用
銀冷水:沢水・豊富・浄水器使用
岩清水:取水不可能
三ツ峰のテントサイト:雪渓からの清流あり・浄水器使用
二つ池のテントサイト:沼水・浄水器使用
硫黄沢:取水不可能
第一火口のテントサイト:雪渓からの清流あり・浄水器使用(7/17時点)

【雪渓・登山道情報】
大沢:雪渓はほとんどなく、トラバース以外は夏道を使用。
三ツ峰~三ツ峰のテントサイト:雪渓あり。登山道への道迷い注意。
サシルイ岳の雪渓(オッカバケ側):下部は融雪により登山道は川状態。
第2前衛峰~知円別岳間:雪渓はほとんどなく、トラバース以外は夏道を使用。
硫黄山山頂直下:雪渓なし。
硫黄沢:雪渓はほとんど残っていないが、足場の狭い岩場を通るところがあるため滑落・道迷い注意。
アイゼン:必要なし。

【開花情報】(7/3,4時点)
シレトコスミレ(7/17時点でも硫黄山付近に開花中の株が数株あり)
チングルマ、エゾコザクラ、ウコンウツギ、イワヒゲ、チシマフウロ、ゴゼンタチバナ、ミネズオウ、イワウメ、イワブクロ、エゾノツガザクラ、メアカンキンバイなど

Writer

原口 桜子

Sakurako Haraguchi

東京都出身。
農業や酪農関係のボランティア活動をしつつ、日本各地への旅を経て知床へ。かぼちゃとALFEEが大好き。