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一期一会
10月下旬のある日、ヒグマ対策のパトロールで自然センター付近を車で通過した際、乗り合わせていた職員が「今ヤツガシラいた!!?」と興奮気味に叫びました。その言葉に私も驚愕し、急ぎ足で事務所からカメラを持って目撃地点へ戻りました。すると。。。
本当にヤツガシラがいました!!知床では観察例が少ない貴重な野鳥です!私にとっては野鳥観察を始めて8年目にして初の遭遇で、動悸が激しくなりつつ観察を行いました。
この鳥は、夏は主に日本より北の国々で繁殖し、冬は日本より南で越冬します。そのため日本は繁殖地と越冬地の間を移動する「渡り」の中継地として立ち寄るだけのことがほとんどであり、観察できるのは春と秋の限られた期間となります(このような鳥を「旅鳥」といいます)。
旅鳥の中でもヤツガシラは飛来数も少ないため、野鳥好きの中でも憧れの鳥の1種とも言えるでしょう。
ヤツガシラという名前に疑問を持った方も多いかと思いますが、その由来といわれているのがこちら。
採餌中や飛翔の前後でこのようにトサカのような冠羽を広げることがあり、この冠羽が「八つの頭(カシラ)」に見えたことからこの名がついたとの説があるそうです(しかし実際の冠羽は8枚以上)。実際に冠羽を広げる様子は動画をご覧ください!
そして今回観察して気づいたことが一つ。思っていたより目立たない!時折木にとまることもありましたが、少し開けた地上で餌を探して歩き回っていることがほとんどでした。地面が露出している場所や落ち葉が多い場所では、一度見失うと再度見つけ出すのに苦労するほどでした。とても良くできた保護色です。
このヤツガシラは自然センター周辺で4日間ほど羽休めをした後、南の越冬地へ向け長い旅を再開したようです。
季節はまもなく冬。「渡り」シーズンから冬鳥シーズンへ。知床では冬鳥のオオワシも観察され始めました。
野鳥には時期・時間帯・場所・天候など、様々な条件が重ならないと出会えない種もいます。まさに一期一会の野鳥観察。この冬はどんな野鳥に出会えるか、今から楽しみです。