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まるで初夏のような陽気が続く知床。日差しは強くても、遊歩道に一歩足を踏み入れると、そこには紛れもない春の息吹が満ち溢れていました。
湖面を覗き込むと、黒い点がうごめいているのが見えました。目を凝らすと、それは信じられないほどの数のおたまじゃくし。初めて見る人は、その数にきっと息をのむことでしょう。
(今回は、あえて写真なしでお伝えします。想像してみてください。)

5湖湖畔にて。手前の水草の周辺におびただしい数のオタマジャクシが。
水芭蕉を美味しそうに頬張るエゾシカ。丸みを帯びたお腹は、満腹の証でしょうか。
いえ、もしかしたら出産を控えているのかもしれません。間もなく、可愛らしい子鹿たちが産まれる出産ラッシュが始まります。母子ともに健やかに育ってほしいと願うばかりです。

私たちに気が付いたようです。
根本に木くずがたくさん落ちている木を見つけました。
見上げると、そこにはキツツキの巣が。知床五湖のベテランガイドさんによると、つがいの愛らしいアカゲラがせわしなく出入りしているとのこと。こんな身近な場所でも、新しい命が育まれているのですね。

※アカゲラ夫婦を驚かさないように遠くから望遠レンズで撮影しています。
湖岸に咲く濃いピンクのエゾヤマザクラ、新緑に映える湖面、残雪を抱く山々、息をのむ美しさです。長年ここで働いていても、季節ごとに表情を変える知床五湖の魅力は尽きることがありません。
もちろん、知床の自然は美しく優しいばかりではありません。これからの時期も凍えるような寒さ、視界を奪う濃霧、容赦ない雨、肌を刺すような暑さ、そして大量の蚊や、時にはヒグマとの遭遇など人間の力では到底及ばない、自然の厳しさもまた、ここで働く中で強く感じます。
今年は幸いなことに、知床五湖遊歩道内でのヒグマの目撃情報は少ないようです。ツアーにご参加いただく皆様が5つの湖を全てご覧いただけることを嬉しく思う一方で、いつヒグマの目撃があってもおかしくないという緊張感は、知床五湖で働いている一員として常に持ち続けています。
今年はどんな年になるでしょうか。
皆様も、この豊かな自然の中で、様々な感動を体験しに知床へ、知床五湖へいらしてください。

3湖展望地にて。桜が綺麗でした。