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森の中で作業をしているとスタッフの一人が木の上にエゾモモンガを発見しました。
モモンガはリス科の小型哺乳類で、日本にはニホンモモンガとタイリクモモンガの亜種であるエゾモモンガの2種類が生息しています。
ほとんど樹上で暮らし、飛膜を使ってグライダーのように滑空する能力を持っています。主に夜行性ですが繁殖期になると日中でも活動するようになるため、今の季節は観察しやすいかもしれません。
エゾモモンガ(以下、モモンガ)はトドマツの枝で葉っぱを食べているようでした。
これがモモンガが食べたトドマツの小枝です。モモンガはトドマツ以外にもハルニレやイタヤカエデの種子、冬芽などを食べる草食動物です。
さて、モモンガは見た目が非常にかわいいですが、それだけで終わってしまっては勿体ないですね。モモンガを中心に知床の森林について見てみましょう。
トドマツはマツ科の常緑針葉樹で知床の森を構成する樹木の一つです(マツ科は他にもアカエゾマツ、エゾマツ、カラマツ、ハイマツが見られます)。モモンガは冬期に冬眠せず、トドマツの葉などを食べて過ごします。知床にリス科の仲間は3種いて、他はエゾリスとエゾシマリスです。そのうちエゾシマリスは地中で冬眠します。
モモンガは天敵から逃れるため樹上で生活しますが、エゾフクロウなどの肉食の鳥獣に捕食されます。エゾフクロウは森林に住み、モモンガ以外にもネズミを捕食して生きています。森林にはアカネズミやエゾヤチネズミが生息し、木の実や種子、昆虫などを食べています。エゾフクロウは食べた動物をペリットや糞として出し、森の土に戻します。
モモンガもエゾフクロウも森がなければ生きていけません。ですが人工林のように1種類の樹木だけでも生きていけないでしょう。季節によって変動する食べ物の増減を補ってくれる多種多様な樹木や下層植生が必要です。
豊かな森とは単に木が生えていれば良いわけではなく、色々な生き物同士の繋がりがきちんと成り立っている状態の森林を言います。モモンガのような「かわいい動物」を愛でるなら、彼らが今後も生息できる豊かな森を残していく必要があるでしょう。
(担当:ノセ)
※2000mm相当の高倍率カメラで撮影しています。